もうひとつの日時計の機能 - アクセサリー感覚で楽しめる日時計・星時計の紹介


アクセサリー感覚で楽しめる日時計・星時計を紹介
日時計は方角が判らなくては、その役目を果たすことが出来ません。ほとんどの日時計は、その方式によって北か南に向けて使用するわけです。庭や建築物の外壁に見られる設置式の日時計は、設置する際に方角を計算して配置してあるわけですが、小型の携帯用の日時計では、使うたびに方角を探し出して使用しなくてはなりません。

ある意味では、それは日時計の欠点かもしれません。方角を知るのは少々厄介です。特に電磁波が飛び交う都市では、小型のコンパスでピタっと正確に北や南を指し示すのは、けっこう骨が折れます。

しかし、それは逆に日時計に別の機能を持たせる結果になるのです。つまり日時計の逆説的な機能と云うことが出来ます。

まだ機械式時計さえも無かった時代はともかく、現代では、ほとんどの方は腕時計を着用しているでしょうし、携帯電話で時間は即座に分かります。今の時代は時間を知るより、むしろ方位を知るほうが困難かも知れませんね。

時間が分かっている場合は、日時計を逆説的に使用すれば、方位が分かるのです。日時計の文字盤に現在の時間を投影させてしまえば、その日時計の先端部が北か南になるわけですね。

右図の円環型日時計で、たとえば現在が午前9時だとすると、通常の日時計の使用法のように、午前9時の箇所に投影棒の影が映るように合わせます。すなわち、その状態は、日時計自体が北を指し示していることになるわけです。

これが日時計の逆説的な使用方法です。あまりにも当然過ぎぎてあきれるかもしれませんが、あまり知られていませんし、これがけっこう使えるのです。

街中で、また、山や海などのリゾート地などに出かけた際、日時計で簡単に方位を知ることが出来るわけです。

日時計のロマンチックな意味合いを省いて実用面だけで評価するなら、誰でも腕時計や携帯電話を所有する現代では日時計を携帯する合理性なんて無いわけですが、方位計としては、りっぱな実用品と云えるでしょう。

現代ではデジタル・コンパスやGPS機器もありますが、このデジタル全盛の時代の中でもアナログかつロハスな感性を持ち続けることは、決して無意味では無いはずです。

ただし、この機能を使うためには、全ての生命の源である太陽が無くてはならないのは云うまでもありません。 


Nullam sine sole demonstro.
太陽が無ければ、私は何も示すことができない
(スイスのローザンヌにあるサン・メール城の城壁にある日時計の下に刻まれている銘文)